heorshe HIROSHI TOKUI homepage - 猫兄弟特選の旅 ベルジュラック

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純愛物語 の主人公シラノ ド ベルジュラックゆかりの地、またはグルメの里ペリゴール地方最初の町として有名なBergeracへ、ボルドーからえっちらおっちらローカル電車に揺られること1時間15分、ついにやって来た。
あたりの(4.5百年前の)石積みの家々はひっそりと無=静寂に包まれ、聞こえるのは聞いたこともない小鳥のさえずりばかり…うーんこれは…絶対に初体験の雰囲気。

 

ドルドーニュ川 のほとりにこじんまりと広がる町に流れる空気は悠久の時を感じさせ、どこまでもクリーンなエアはNYなんかに住むと麻痺してしまうであろう人間本来の五感をゆっくり優しく心地良く呼び起こしてくれるかのよう。
ゆったりと流れる川面からして実に美味そうで、たまたま訪れたのが日曜の夕方だったせいもあり、まるでそこは心地の良い自分たちだけのゴーストタウン/小宇宙。

シラノ像 がこれだ!お噂通り鼻高いでしょ?ジェラルドトパルデュー主演もの+スティーブマーティン「愛しのロクサーヌ」が最近の映画。

明らかに流れている時間が異なると感じた。

12世紀 に建てられた修道院後がベルジュラックワイン協会の本部になっていて、ここは博物館も併設し一般公開されている。その建物内ではまるで中世から時間が止まったままではないだろうかとの錯覚に陥るくらい、何もかもが本来あるべき姿に保たれている。

たまたま泊まったホテルのバーにいた、流暢な英語を話すバセットハウンドを連れたおっちゃんが、ワイン協会に行くなら是非と薦めてくれたのが " Perigueux"の赤と隣村 "Monbazillac"産のワイン。
モンバジャックは前の晩フォアグラと共に頂いたので、今回は赤を2本購入。
内1本はバルセロナの友人への土産に、もう1本は途中の電車で我々のワイルドな胃袋に見事収まった。素朴だけど力強い味わいで◎(二重丸)。

La mie Caline がお店の名前で、一見ナンテことない街角のパン屋さんだった。日曜日に町に到着した我々だったから、オープンしている店を探すのに苦労したのだが、目に見えない磁石か何かに引き寄せられるかのようにフラフラと立ち寄って、エクレアとタルトを購入。
これが絶品で驚いた!特にエクレア、テクスチャーを考え抜いたかの様な絶妙な歯応えとクリームのリッチさ甘さの設定、何を取ってもこれはベストエクレア、今まで食べた中で。

 

ミントがただの土手に当り前のように群生している図…これにはビックリ。
試しにパクッとやってみたら香り抜群でワイルドなお味。
昔からヴェトナム料理系のラビオリ(揚げたもの)食べ方=レタスにミントの葉っぱをや細くスライスした人参などと一緒にぐるっと巻いて食べる=が好きなため、けっこうmy人生にミントはつきものでファミリア、だっただけにとても親近感を持ったりするのだった。

 

ベルジュラックを離れる日の朝に、お昼用にと同じお店で購入した鴨の薫製入りサラダ。
文字通り「世界の車窓から」ばりの昼食だったから余計そう感じたのかもしれないけれど、あんたら天才やーっ!
野菜類は言うに及ばず新鮮で、まんべんなく贅沢にふりかけられた鴨…ゼラチン質がねっとりと舌に絡み付き、そしてじゅわーと溶けていくその感覚…ああ美味いあたいらは幸せモノやーと叫びたかった私マジで。

ワインは若いワインを気軽に鴨料理なんかと頂くのが良いらしい。
この日も97年もの赤とフォアグラ様にモンバジャック(隣村)産の貴腐ワイン=白/とろけるように甘い=を合わせたが、流石に2人でフルボトルはキツイので、赤はハーフを頼む。
味はなるほどカジュアルで微発泡した酸味の強いものだった。

レストランは家庭料理がリーズナブルに頂けるのが自慢のお店で。日曜夜だから客は我々以外誰もいなかったが、途中からどう考えても(女優的に)頭のいかれたおばさまがやってきて、最終的にフランス語のみでいろいろ話しかけていらっしゃったが、それはどうも食事がちゃんと終わってから煙草を吸ったのかどうかということに集約されているようだった。
マナーの問題よねたぶん。

デザートに頼んだクリームブリュレ、キャラメルソースをかけてこんがりとオーブンで焼いたシンプルもので、うーんセボン。
後ろのおばさまに絡まれなければもっと美味かったに違いないが、煙草吸いの多いフランス人だけど、まぁ一応夕食の時は食事が完全に終わるまで煙草は吸っちゃいけない、特に若い女性の場合、が昔ながらのマナーらしいので気を着けよう。

ロマンティックもこの街にはきっと大切なキーワード。何故シラノのような純愛物語が生まれたのか、細かい寄せ木細工のような家々を縫うように歩けば納得。所どころにとても気になって仕方のないスクエアが点在し、そこはどこも驚くほど美しい木々と花々に囲まれている。とてもじゃないけど車の通れない細い石畳みの小路には黒い猫たちが濶歩し「愛の歌」を歌っている。
ドルドーニュ川には水面スレスレで燕たちが見事なアクロバットを繰り返し、川面に映る夕陽は悠久の時をたたえ、音もなく静まり返った辺りからは聞いたこともない小鳥のハミング。

あああなんと完璧にロマンティック…シラノは自らを(鼻の異常に高い)醜い男と卑下していたけれど、純愛する男はいつの時代も容姿に関係無く美しいものだと言うことをおしえてくれるベルジュラックがすっかり気に入った私たちだった。

にまで見た本場のフレッシュフォアグラは流石産地だけあって信じられないようなボリュームで登場。特にくるみ(同じく名産)を和えたサラダがもう絶品。
フォアグラはサイズ(厚さ1センチ以上)や形状から考えても、間違いなく缶詰ものではなく何だかそのままザクっとスライスしたような感じ。
比較的油分が多かったものの、モンバジャックとこんがり焼いたバゲッドと共に頂く正当派スタイルにマッチ。至福の時を過ごす。

色採り取りの花が咲き乱れ、その色は都会で見かけるそれとは違って力強く生命感に満ち溢れている。一つの株から2色〜3色の異なるペダルが咲く品種が多いらしく、アメージング! 
土手にさりげに咲いたノースポール(小型デイジー)なんかも健気でうっとりさせられる。うーん官能的だよね。

かたつむりも本来あるべき姿のまま、本来いるべき場所に当り前のようにくっついていたりする。やはり此の街のキーワードは「ニュートラル」正にあらゆる事象がその軸に沿って構成されているような気がした。
そうきっとここはワンダーランドでも何でもなく、都市の人間が当の昔に忘れてしまった「当り前の国」なのだ。

いつの日かもう一度戻ってきたいと思う街はそんなに沢山あるものじゃないけれど、ここに限っては今度は出来れば家族を連れてまた来たいなと切に思った我々だった…実におススメ、ベルジュラック。

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