No one likes wearing your inhumane veil. |
9月30日(日) 発生20日目。先日は多くのお葬式が行われた。グランドゼロはまだ燃えている。NBCのサタデーナイトライブにジュリアーニ市長と
FDNY/NYPD/PANY/EMC
の面々が出演し「お笑い解禁」を宣言。事件以来よく見かけるポール・サイモンと、アリシア・キーズが歌った。進行役は無難な選択リーズ・ウエザースプーンだった。 |
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9月29日(土) 発生19日目。人間は忘れっぽい。特に日本人は忘れっぽい。地震は? オウムは? 毒入りカレーは? ルーシーさんは? 小学生無差別殺傷は? 中学教諭の拉致監禁殺人は? 自分の国で起こった事件でさえそうなんだから、遙か遠いニューヨークで起こったこと=世界を激変させるきっかけとなったことなど、あっと言う間に記憶の彼方へ消え去ってしまうのは仕方のないこと。しかしながら、実際に世界で何が起こっているのかを正しく把握できない日本人が多いことには危機感を覚える。そのひとつの原因として、日本のメディアの相変わらず無能ぶりと質の低さがあげられるのだが、たとえばNHKは全般的に後手後手でひとつひとつ確認しながらおっかなびっくりニュースを伝えているので、リアルじゃないしテレビで新聞を読んでいるのと大して変わりがない=よって気分が伝わらない。フジに代表される民放は逆に未確認の情報を流したり、情勢認識の低いただの芸能人に無責任な発言をさせ、それをたれ流したり、事実を大げさに伝え過ぎる傾向がある。バックグラウンドに不穏な音楽を流したりしてムードを盛り上げるのも日本の民放のひとつの傾向だ。生物兵器テロの危険があったら、その恐怖だけをクローズアップして視聴率を稼ごうとする…日本が具体的に狙われているわけじゃないのに、ガスマスクを買う人などが現れるほど扇動する。基本的にバイオレンスに対する配慮が低いから、いつまでも強烈な映像を繰り返し流したりする。雑誌などもこぞってショッキングな画像を掲載して売り上げを伸ばそうとする…それを見た子供たちがまたあらぬ方向に事件を解釈する。誰もそれをフォローしない。潜在的にPTSDを患って心が病み、将来に悲観的なまま育ち、常識では考えられないような事件を起こす繰り返し。新聞は手元にないので批判は避けるが、ウェブ版を見ている限りどの新聞も平板で独自性がない…アメリカの新聞をそのまま翻訳しているようなものだ。何にしても情報の出所は一緒だから「意見」が「顔」が見えない。政府の対応を見てもそうだが、有事に話し合いばかりしている…それと同じでいつでも結論は先送りなのが日本のメディアの体質でもある。WTCの倒壊を「まるで映画を観ているようだった…」と言う人が多い…仮にそれが映画の1シーケンスだったにしても、その後世界がどう変わったのか、日本は世界でどのような立場におかれ、どのような対応をしているのかぐらいはちゃんと知っておいた方がいい…まだまだこの先大変だから。日本人に罪はないが、日本メディアの罪は今回も重大だ。 |
ユニオンSq.の違法慰霊碑は既に片付けられた |
9月28日(金) 発生18日目。妻が病院から帰ってきて「ヨーレンヨーレンヨーレン♪」とローハイドのメロディを口ずさんでいるので何事かと思ったら、溶血性連鎖球菌、略して溶連菌に冒されているとの診断結果だったそうだ。溶連菌というのは別に珍しい菌でもなんでもなくそこいら中に存在しているので、もちろんテロとは何の関係もない代物だが、ケースによっては恐ろしく抵抗力の強いものや劇的に進行する「人喰い」バクテリアなんて呼ばれるものもあるので注意が必要だ。とりあえず日本では処方されないペニシリン(抗生物質の一種)をもらって安静にしてなさいということになった。問題は空気感染をする菌なので、人には会うなと…ちょっと待て、じゃあオレはどーなんの?って既に昨日から喉や体の節々が痛いじゃないかー…too
late。 |
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9月27日(木) 発生17日目。今朝も悲しみをいっぱい含んだ煙がグランドゼロから漂ってきている…ダウンタウンに住む我々は今ではそのニオイに慣れてしまっているが、いったい何が燃えているのかをよくよく考えれば実に恐ろしいことだ。まるでWTCが「忘れっぽい人間たちよ、どうか何が起こったのかを忘れないで!」と一生懸命頑張ってメッセージを送り続けているようにも感じる。普通なら水をかければ火は消える…でも爆心地は今も燃え続けている…雨はいつかやみ、夜はいつかは明け、陽はまた昇ると言うが、非人間的な行いによって起こった災いの炎は簡単に消えることはない。 |
我が家のカレンダーは今日も9月11日のまま |
9月26日(水) 発生16日目。信じられないことだが、今でも窓からきな臭いニオイが入ってくる…せっかく(テンポラリーに)そういうことを忘れて、別のモノゴトの集中していても、それを嗅いだだけで簡単に現実世界に引き戻されてしまう。ニュースでは
事件前に CNN
に移ったばかりのポーラ・ザーンがよく通る明るい声で暗いニュースを読んでいる。ビンラーディンのような(10日間の便秘の後に出たウンチのような)者を受け入れるだけあって、さすが
"オマル"
と言う名のタリバン最高指導者が米国民に向けて出したメッセージを聞いて、再びはらわたの煮えくり返る思いをしている人が多いだろう水曜日の朝、気温が下がり肌寒い。 |
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9月25日(火) 発生15日目。小泉首相がニューヨークを訪れている(いた)ようだが、CNNのニュースなどでインタビューは受けたものの、メディアに登場する機会は全般的に少なかった模様だ。そもそもCNNニュースのティッカーに「KOYIZUMI」と書かれていたし、アナウンサーからは「ジュニチョーコジュミ」と発音されていらっしゃった。アメリカ人も国際社会における日本の政治力のなさや、再三繰り返されてきた非常時の対応の悪さは認識済みなので、始めから多くは期待していない。後方支援なんて言っても、最終的には「金出せ」なるのは言うまでもない。完全に蚊帳の外である。田中外相なんて国内で干されている状態みたいだし、今回の流れを見ていても先が思いやられるマイ祖国ニッポン。今テロにあったらひとたまりもないんだろうなぁ(どうせテロするなら外務省あたりを狙ってほしいものが…)誰もそれどころじゃないから助けてくれないだろうし…危険だ。 |
バッジも売れ続けているニューヨーク |
9月24日(月) 発生14日目。時代を反映してファッションはこの先ペイトリオティズム、またはヒッピー系へと流れて行くのは当然のことだが、それにしてもアメリカ国旗をあしらったデザインのなにがしかを着ている人の多いこと。自分はスノッブでカッコつけでファッションビクティムな嫌なヤツと認識しているような人でも、せめてシャツくらいはユニティを表現したいのだろう。普段、戦争とかそういうものに100%関心のない人でさえそうなんだから、今回の事件のインパクトは相当なものだった。また、まるでジャニス・ジョプリンのような格好をした女の子、ジェファーソン・エアプレーンのような集団、ボブ・マーリー的佇まいの者たちも多く見かけるようになった。この傾向はあっと言う間に世界に広がっていくことだろう。今回のことで既存の国旗シリーズの売り上げが伸びた、POLO
SPORT、TOMMY HILFIGER、OLD
NAVY、NIKEなどは、その収益の一部をを義援金にあててもいいのではないだろうか…と勝手なことを言ってみる。遅くなったが、今日も目覚めてちゃんと息をしていた。アルカイーダの死んだ魚のような目をした人たちはNYの上空から生物・細菌兵器をまき散らすことに今のところ成功していない…良かった、まだタイプできる。 |
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9月23日(日) 発生13日目。今日も息していた…ああ良かった。本日は午後3時からヤンキースタジアムでWTC遺族のための大規模なメモリアルサービスが予定されているニューヨーク。再びエモーショナルな日曜日になることだろう…窓からは…信じられないのだが…いまだに焦げ臭い空気が吹き込んできている。現在ユニオンスクエアは「反戦運動」の中心的役割をしている。ジョージ・ワシントンの騎馬像にはいつの間にかラブ&ピースマークが描き込まれ、星条旗やら反戦スローガン入りの旗を無理矢理持たされている。広場には反戦運動家たちが集まり気勢をあげている。どこからやって来たのかウッドストック時代ばりのヒッピー集団や、殺気だった学生たち(もっとも危険な集団だ)、新興宗教の勧誘、芸術家、観光客、報道陣がくんずほずれつわやわやな状態だ。反戦を唱える人たちのプラカードには「Resist the Racial war」とある。それを見た愛国主義者の人たちと言い争いになっている光景も見受けられる。これはもっともだ。だって今回の戦争って一概に人種差別的な戦いではないもの…イスラム原理主義過激派の人すべてがアラブ人というわけではないし、WTCで起こったことを度外視して平和的解決だけを闇雲に訴えるのは現実的ではない。それこそ blind eye だ。闘いを好むと好まざるに関わらず、今回のテロの首謀者を公的に裁こうとすれば、法廷に立たせるまでの段階で何らかの「戦い」が必要なのは誰の目にも明らかである。あっさりと平和的に解決できるのならそれに越したことはないけど、いったい誰が相手なのかをよく考えて Racial という言葉を使うべきだ。国内で起こっているエスニックヘイトクライムに対する抗議なら賛同するけれど、枠を広げすぎている感は否めない。こんな時だからこそどうか冷静になって欲しい。 |
ファファよそんなに好きなのか?ブッシュ… 9/11以降に書かれたものだろう |
9月22日(土) 発生12日目。毎朝目覚めて自分が息をしていることを確認するとほっとするようになってしまった。と言うのも巷ではやれ22日が生物・細菌・化学兵器などを使った無差別テロの危険性が高いとか、水が危ないとか、今度はボストンが標的だとかばかりが話されているからで、アメリカ人の友人などはもう心配しすぎてほとんどナーバスブレイクダウン寸前である。自分はと言うと、先にも書いたように生きていることに感謝するくらいだから、もうテロに対しては諦めにも似た開き直りの境地にあると言える。演歌じゃないけど「だってしょうがないじゃない」状態…現実的に上空から細菌みたいなものをまかれたら防ぎようがないし、水道水に毒物を混入されてそれを知らず知らずのウチに飲んじゃったらひとたまりもないもの。街ではガスマスクや防護服が飛ぶように売れているようだが、盛り場での爆弾テロとかを含め、いちいち余計な心配をして神経をすり減らすくらいだったら、オレは最後まで楽しく生きてみせる!なんて言いつつも、角のデリでミネラルウォーターを買い置きしたりしてる…やれやれ。 |
スタテンアイランドフェリーから見た現在の星島 WTCの残骸を間近で見て言葉を失う… |
9月21日(金) 発生11日目。昨日夜9時から行われたブッシュ大統領の演説をご覧になった方も大勢いらっしゃることと思う。好き嫌いは別にして歴史に残る演説だったことは確か…その力強さと決意には誰もが息をのんだことだろう…大統領が何か発言する度いちいち議会が立ち上がり拍手喝采を繰り返す様は見ていて滑稽でさへあったが、ただでさへお疲れ気味のご老体たちも「わかって」それをやっているんだから凄いことだ。アメリカの議員たちはどこかの国の老人たちと違って実にパワフル。途中、ジュリアーニ市長とパタキ知事が労われ長い喝采に包まれたときには、思わずテレビの前で妻と一緒に拍手してしまった。確かにこの2人はただごとでない10日間を過ごしているから…。 |
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9月20日(木) 発生10日目。今日からしばらくの間天気が悪そうだ。ジュリアーニ市長は今週末で「レスキュー」オペーレーションを「リカバリー」オペレーションに切り替えると表明した。これはつまり生存者がいる望みがほとんどなくなったということなのだ。リカバリーの段階になれば、瓦礫の山はもっと大がかりに大雑把な方法でワサワサと取り除かれる。そこにはもうレスキュー犬も必要ないし、手を使って慎重に瓦礫を掘ることもなくなるし、それをバケツリレーする光景も見られなくなる。画像はリードストリートあたりから見たWTC7の瓦礫の山だが、しばらく同じ場所に立っているだけでブーツの底が溶け始めるというレスキューワーカーの証言通りいまだ高熱を発しながら不気味に燃え続けている。そういう環境で生存できる生物はいない…被害者の家族にとっては悲しいニュースだが、現実的に避けられない決断なのだろう。 |
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9月19日(水) 発生9日目。だいぶ空気が和らいできた感があるが、根底に流れるSadness
は相変わらず深い。そんな街中の風景をキャプチャーしながら歩いているだけで、胸がいっぱいになる。午後からはワシントンスクエアパークに設置された追悼の寄せ書きを取材した。世界各国の言語で書かれた様々なメッセージ、大人から子供までありとあらゆる地上の人々の悲痛な思い。中には「テロリストは皆殺しだ!」と言った過激なものもあるが、世界平和を願い「今までと同じような事(戦争/報復/殺戮)をしては何一つ解決しない、愛がもっとも重要」などのメッセージがほとんどだろう。みなバカじゃない、ちゃんとわかってる。3才の男の子はストレートに「ぼくはまた大好きだったワールドトレードセンターが戻ってくることを祈っている」と書き残した。17才のキューバからやってきた学生はテロリストに向けて「我々の愛する人々(含むWTC)をデストロイできたかもしれないが、我々のUnite(団結)は決して壊すことはできない。我々はテロリストが永遠に勝てないものと共に生きている…それは愛だ」と力強く書き残した。フライトアテンダントはテロの犠牲になった仲間の冥福を祈った。細かく集中して読んでいたら涙が出てきて止まらなくなった。 |
誰もが「自分にはいったい何ができるだろうか?」 を実践している状態。ニューヨーカーはたくましい。 |
9月18日(火) 発生8日目。NYSEやNASDAQもアメリカの威信をかけて半ば強引に再開され、思った通り記録的な全面安となった株式市場…いくら予想された展開とは言え、関係者にはショッキングな月曜日だったに違いない。いまだ登り続ける爆心地の噴煙…埃っぽいウォールストリート界隈…まったくをもってタフな状況だ。 |
視覚的な喪失感もただごとではない |
9月17日(月) ニュースを聞いて慌てて外に飛び出したのが、思い起こせば1週間前のこの時間。爆心地から命からがら逃げ出してきた直接的被害者との遭遇を経て、焦げ臭い空気の中、毎日ニュースを観て、インターネットで数多くの情報を比較検討して、新聞を読んで、写真を撮り回って、友人と話して、いったい何が起こっているのかを五感(含む六感)で感じ、自分なりにストラグルしたピリオドだった。今日からニューヨークは
Back to Normal
をスローガンに経済活動を本格的に再開。厳戒態勢の中、いまだ煙が立ちのぼる立ち入りが禁じられていた金融・証券エリアを(強引に)一般市民に解放した。 |
ワシントンスクエアパークからは噴煙が見える 明日から職場に戻る妻なのだった… |
9月16日(日) 発生6日目…テロ後初めての週末。空港は部分的ではあるが通常通りの運行を目指し再開…市民としてはテロ以来耳にしていなかった普通旅客機のジェット音が聞こえ始めた訳で、複雑な心境である。学生の憩いの場として特に名高いワシントンスクエアパークではアークのまわりに大きな垂れ幕が用意され、訪れた人々が思い思いの哀悼の意を書き残している。いつもならこのアーク部分をスルーしてワールドトレードセンターがそそり立って見えていたのだが、現在はいまだくすぶり続ける煙が不気味にライトアップされて見えるだけだ。煙をかすめるように飛ぶ旅客機も見える。ある程度時間が経ってヒステリックだった市民の思考回路も徐々に平静を取り戻し「本当に何が起こったのか」を徐々に正しく認識しはじめた感のあるニューヨーク。我々は外国人としてこの地に暮らし今回の事件を体験したわけだが、さすがに毎日繰り返される悲しい出来事の連続に脳が疲弊し、どっぷりと疲れストレスがたまっている状態だ。特にマンハッタンのダウンタウンなんかにいるとそれが顕著で、Change
of pace
とどうにか頑張って今回の出来事をテンポラリーに避けて暮らそうとしてもなかなか敵わないのが現実だ。外食してもどこもかしこもお通夜のようだ。どの公園に行っても人々が集まり追悼集会を開いている。もちろんショッピングする気分じゃない。映画を観ようと努力するが集中できない。テレビは報道番組しかやってない。なもので、マンハッタンを出ようと思い、昨日はパストレインでニュージャージー側に渡った。なるほど流れている空気が違っうように思えて(我々はアウトサイダーだからだろう…)、何となくリフレッシュ。でも、ホーボーケンから眺めた主を欠いたファイナンシャルディストリクトのランドスケープにはショックを受ける。波止場では多くの人が集まって祈りを捧げていたが、ニュージャージーの川沿いに住む人たちが受けた喪失感も計り知れないことが伺えた。 |
ユニオンスクエアの追悼風景 猫兄弟も祈りを捧げているのだろうか… |
9月15日(土) 発生5日目…まさにインディアンサマーの始まりである。被災地はいまだくすぶり続けている…そして、生存者は発見されていない。路上には黄色くなったメイプルリーフやどんぐりなどが落ち始め、秋の到来を確実に予感させる。そして残酷なほどに美しくスカッと晴れた青空にお日様が心地良さそうに浮かんでいる。 |
14丁目では祈りの火が絶えることなく灯されている |
9月14日(金) 発生4日目…朝から激しい雨が降り続いている。10時半現在行われているジュリアーニ市長のプレスカンファレンスでは、まず最初にメディアの報道姿勢が取り立たされ、あまりにもいい加減で信憑性のない情報を未確認のまま流す姿勢を批判。昨夜など1人のヒステリックに狂った女性が消防士の1人に「WTCの地下2階に10人のポリスオフィサーが閉じ込めてられている」というデマを流したために、救難作業に大きな支障が出た。この模様は速報となって瞬く間に4大ネットで全国に生中継された。朝になってこの女性は逮捕された。その他にも、オフィシャルではないインターネットで間違った情報が流されていることにも言及。また、この時期に市民宅にわざわざ電話をして寄付を募ったり、街頭でボランティア団体を名乗り寄付を集める詐欺が急増。これらの行為を働いた人々も逮捕される。さらに、ポリスや消防を装ってフローズンエリアに入り込もうとするジャーナリストも何人か逮捕された。またこのエリアに入り込んでドロボウを働く者も後をたたない。ウチの目の前でも「ドロボウ」の逮捕劇があった。留守宅を狙ったドミニカンの空き巣のようだったが、窓の外がこんなでは本当に気が滅入るし恐ろしい。 |
これは朝夕ではなく、真っ昼間の映像… |
9月13日(木) さて、何から書けばいいものか…発生から48時間以上が経過したニューヨーク。時間が経過するたびに被害の甚大さが浮き彫りになり胸が張り裂ける思いだ。風向きが変わったので、被災地(この場合ファイナンシャルディストリクトを指す)からの煙が北方マンハッタン全体に漂っている。元ワールドトレードセンターから400メートルの位置にあった妻の職場は完全封鎖されているため、ファミリーが避難しているボンドストリートまでお手伝いに出掛けていった。今朝は横浜の叔母から心配していると電話をもらった。14丁目以南では新聞が買えないので(配達ができない)歩いて、何軒かのニューススタンドをまわり、ようやくニューヨークタイムズを手に入れてきた。その間何度も咳き込むほど煙たかった。通りを歩くほとんどの人はマスクをしたり、ハンカチを口元にあてたり、バンダナを巻いたりしている。誰も彼もが押し黙ったまま、賢明に平静を装って「いままでの木曜日」を始めようと努力している。42丁目より南では電車も止まったままだ。ニュースではひっきりなしにオサマ・ビン・ラディンのことや、全米でイスラム教徒が標的になっていることや、少なくとも4,763人の行方不明者いるとジュリアーニ市長が発表したりしている。 |
見てはいけないものを見てしまった感覚に近い スタイヴサントには追悼の壁画が描かれている。 |
9月12日(水) はじめに、我々のことを心配してくれて、メールをくれたり電話をかけてくれた皆さま、どうもありがとうございます。我々は無事です。 |